陳小春でっかいことを言う

・速度を享受
男性が主体の映画と言えば、ヤクザものやアクション、警察ものやカーレースものなどがある。1人の女優しか登場しない、劉偉強(アンドリュー・ラウ)と麥兆輝(アラン・マック)監督の《頭文字D》は、車が命という男たちが大好きな話しだ。それは車のスピードが観客の感覚に訴えるからだ。
「レースシーンの撮影で一番表現しにくいのはスピード感だ。どんな映像を見せれば、観客がその圧迫感を得られるか。これまで香港映画で用いてきた技術はすでに見飽きている。もしまた同じようなものなら、なにも引き付けるものはないだろう。だから《頭文字D》の撮影方法は、耳目を一新するものだ。観客はリアルなスピード感を味わうことになる」
インタビューのあいだ小春は、もし自分がサッカー選手だったらいいと何度も言った。カーレースとサッカーを一緒に語る小春の意見を聞いてみよう。
「スピード感が必要なのは、カーレース以外にサッカーもだと思う。子供の時、《キャプテン翼》を見て、フィールドのまん中あたりから真直ぐに突き刺さるようなシュート、まるで稲妻のような驚くべきパワーは、映画の中ではそう簡単には表現できないと思っていた。しかし周星馳の《少林足球(少林サッカー)》がそれをやってのけた」。
・大きな車が好き
車の話しになると小春は、《頭文字D》から現実の好みまで、そして映画の中の運転技術についてまで、滔々と語る。その時、彼はまさにレーサー、筆者は門外漢だが、話を聞くのは楽しい。しかし、男と車にはどんな関係があるのかと問うと、彼は口をあんぐり空けて、しばし考えを巡らせた。
「ちょっと考えてみた。なんといっても感覚だ。車が人に与える一種の力強い感覚に関係があるのだろう。男どもが集まってほら話しをしている時には、自然と車の話しになる。たとえ詳しくなくても、ひとこと、ふたことは話せるものだ。女性がどうやったら綺麗になれるかなんて話しをするのと大差はない。男は車について話すのが好きなんだ」。
小春は、男と車にはおおいに密接な関係があると話すが、自身は、映画の中のLancer Evolutionまたは他のどんな車を選ぶのか?
アメリカで大きな車を見たことがあった。外見はとても魅力的。車体は黒く正方形、車内は広く気持ちがいい、欲しいと思った。調べているうちに、大陸や台湾では発売されているのに、香港だけは売っていなかった。今は3代目になっていて、ついに香港でも代理店が出来た。香港の狭い道路では運転するのが難しいだとうと思っている」。
・須藤京一ファン
外見は大きな子供のような小春は、自分は漫画好きだと認める。しかしアニメには興味がなかった。《頭文字D》のアニメだけが、彼を夢中にさせた。いったい何がそんなに魅力的なのか?
「2、3年前のこと。周りの友人の誰もが《頭文字D》のアニメに夢中になっていた。僕自身はアニメにはそれほど興味がなかった。だから、彼らが夢中になる理由が分からなかった。好奇心で、少しだけ見てみた。一度見始めたら、とまらなくなり、一気に最後まで見た。もっともすばらしいのは、レース一つ一つのドリフトのシーンの絵だった」
小春は《頭文字D》のアニメに熱くなったが、物語の中に、小春が映画版で演じることになる須藤京一という人物がいることは知らなかった。小春はほらを吹いたのか・・・。
「劉偉強が僕に須藤京一をオファーしてきたとき、それが誰だか知らなかったんだ。それで漫画を見直して、レースに夢中な男だと知った。外見はすごくクール。それで僕はその役を受けることにしたんだ。出来上がった映画はまだ見ていない。ただ、現場でリプレイを見ただけなんだ。杜[シ文]澤はかっこいいって言ってる。劉偉強には絶対の信頼をおいてるからね」。by「milk 200号」

車、時計、男はそういう「物」が好き。小春はサッカーも好き。レースのスピード感についてのくだりなんて、えらそうに監督もどきのことを言っている(笑)。トレイラー見るかぎり、期待できそうだが。拓海は無口らしいので、周杰倫ジェイ・チョウ)でも大丈夫そうだし、黄秋生(アンソニー・ウォン)に演技は出来ないが、雰囲気はあると言われているらしいので(相変わらず歪曲され報道されているが)、劉偉強の俳優の雰囲気をつかみ取る能力を信じてみよう。